確定申告で数万円から十万円取り戻せる
「確定申告は個人事業主がするもの」と思っているサラリーマンは多いですが、実は会社員でも確定申告をすることで、払いすぎた税金を取り戻せるケースが多数あります。医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除、副業の経費など、知らないと損する控除項目がたくさんあるのです。
2025年現在、確定申告はスマホやパソコンから簡単にでき、e-Taxを使えば税務署に行く必要もありません。30分から1時間程度の作業で、数万円から十万円以上の還付金が受け取れるなら、やらない手はありません。
特に、医療費が年間10万円を超えた方、住宅ローンを組んだ初年度の方、副業をしている方は、確定申告をすることで確実に還付金が受け取れます。また、ふるさと納税をワンストップ特例で済ませた方も、確定申告をした方が得になるケースがあります。
本記事では、サラリーマンが使える控除項目から、確定申告の具体的な手順、還付金を最大化するテクニックまで、税金を取り戻すために必要なすべてを解説します。
確定申告の基礎知識
確定申告とは
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日)の所得と税金を計算し、税務署に申告する手続きです。会社員の場合、会社が年末調整をしてくれますが、年末調整では処理できない控除があり、その場合は自分で確定申告をする必要があります。
確定申告が必要な人
- 給与収入が2,000万円を超える人
- 2ヶ所以上から給与を受けている人
- 副業の所得が年間20万円を超える人
- 医療費控除、住宅ローン控除(初年度)などを受けたい人
確定申告の期間 毎年2月16日から3月15日まで(土日の場合は翌平日)
期間外でも還付申告は1月から受け付けています。還付申告なら混雑を避けて早めに申告できます。
所得税の仕組み
所得税は、収入から様々な控除を差し引いた「課税所得」に対してかかります。
所得税の計算式 収入 – 給与所得控除 – 各種控除 = 課税所得 課税所得 × 税率 = 所得税
控除を増やせば、課税所得が減り、税金が安くなります。確定申告で控除を追加申請すれば、払いすぎた税金が還付されます。
還付金の受け取り方
確定申告をすると、1ヶ月から2ヶ月後に指定した銀行口座に還付金が振り込まれます。e-Taxで申告すれば、2〜3週間で振り込まれることもあります。
還付金の目安
- 医療費控除:医療費が30万円なら、還付金3万円から6万円
- 住宅ローン控除:年間20万円から40万円
- ふるさと納税:自己負担2,000円を超えた分が還付
サラリーマンが使える控除項目10選
医療費控除:医療費が10万円を超えたら
医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円(所得200万円未満なら所得の5%)を超えた場合、超えた分を控除できる制度です。
対象となる医療費
- 病院の診察費、治療費、入院費
- 薬局で買った薬代
- 歯科治療費(自由診療も含む)
- 介護サービス費(一部)
- 通院のための交通費(公共交通機関)
- 出産費用
対象とならない医療費
- 美容整形、審美歯科
- 健康診断、人間ドック(異常が見つからなかった場合)
- サプリメント、健康食品
- 自家用車のガソリン代
家族全員の医療費を合算できる 生計を一にする家族(配偶者、子ども、親など)の医療費を合算できます。家族全員の医療費が年間10万円を超えれば、控除が受けられます。
還付金の計算例 年間医療費30万円、所得税率10%の場合 (30万円 – 10万円) × 10% = 2万円の還付
セルフメディケーション税制:薬代が1万2,000円を超えたら
医療費控除の特例で、対象の市販薬を年間1万2,000円以上購入した場合、超えた分(上限8万8,000円)を控除できます。
対象となる薬 「セルフメディケーション税制対象」のマークがついた市販薬(風邪薬、痛み止め、胃腸薬など)
医療費控除との選択制 医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか選べません。どちらが得か計算して選びましょう。
住宅ローン控除:初年度は必ず確定申告
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、年末のローン残高の0.7%が税額控除されます。控除額は年間最大35万円(認定住宅は最大45万5,000円)です。
住宅ローン控除の特徴
- 控除期間:13年間(新築の場合)
- 初年度のみ確定申告が必要
- 2年目以降は年末調整で処理可能
- 所得制限:年間所得2,000万円以下
還付金の例 年末ローン残高3,000万円の場合 3,000万円 × 0.7% = 21万円の税額控除
所得税で控除しきれない分は、住民税からも控除されます(上限あり)。
ふるさと納税:ワンストップ特例より確定申告が得なケース
ふるさと納税は、ワンストップ特例制度を使えば確定申告不要ですが、以下の場合は確定申告が必要、または確定申告した方が得です。
確定申告が必要なケース
- 6自治体以上に寄付した
- 医療費控除など他の理由で確定申告をする
- ワンストップ特例の申請書を出し忘れた
確定申告の方が得なケース
- 住宅ローン控除を受けている(所得税が少なく、住民税の控除上限がある)
- 高所得者(所得税率が高い)
副業の経費:副業収入から経費を差し引く
副業をしている場合、副業にかかった経費を収入から差し引けます。経費をしっかり計上すれば、税金を大幅に減らせます。
副業で認められる経費
- パソコン、スマホ、タブレット(按分)
- インターネット代、電話代(按分)
- 書籍代、セミナー参加費
- 交通費、打ち合わせの飲食代
- 賃貸の家賃、光熱費(按分)
- 文房具、消耗品
按分とは 副業とプライベートの両方で使うもの(パソコン、家賃など)は、使用割合で按分します。例:パソコンを副業で50%使うなら、購入費の50%が経費。
経費計上の注意点
- 領収書を必ず保存(7年間)
- 按分は合理的な根拠が必要
- プライベート分を経費にしない
生命保険料控除:年間最大12万円の控除
生命保険、医療保険、個人年金保険の保険料は、一定額まで控除できます。
控除額の上限
- 一般生命保険料:最大4万円
- 介護医療保険料:最大4万円
- 個人年金保険料:最大4万円
- 合計:最大12万円
会社員は年末調整で処理されますが、年末調整に出し忘れた場合は確定申告で申請できます。
地震保険料控除:最大5万円の控除
地震保険の保険料は、最大5万円まで控除できます。
控除額
- 年間保険料5万円以下:全額控除
- 年間保険料5万円超:5万円控除
火災保険は控除対象外ですが、地震保険とセットの場合、地震保険部分は控除できます。
8. 寄付金控除:ふるさと納税以外の寄付も控除対象
ふるさと納税以外にも、認定NPO法人や公益法人への寄付は控除対象です。
控除額 (寄付金額 – 2,000円) × 所得税率
災害支援や動物保護団体への寄付も、認定団体なら控除対象になります。
雑損控除:災害や盗難の被害を受けたら
災害、盗難、横領などで資産に損害を受けた場合、雑損控除が受けられます。
対象となる損害
- 地震、台風、火災などの災害
- 盗難、横領
- シロアリ被害
控除額 以下のいずれか多い方
- (損害額 – 保険金) – 所得の10%
- 災害関連支出 – 5万円
特定支出控除:サラリーマンの経費
会社員でも、仕事に必要な支出が多い場合、特定支出控除が受けられます。ただし、ハードルが高く、利用者は少ないです。
対象となる支出
- 通勤費(会社が負担しない分)
- 転居費(転勤に伴う)
- 研修費、資格取得費
- 図書費、衣服費(仕事に直接必要なもの)
- 交際費(接待など)
控除の条件 給与所得控除額の50%を超えた分が控除対象。年収500万円なら、特定支出が77万円を超える必要があり、現実的には難しいです。
確定申告の具体的な手順
ステップ1:必要書類を準備
確定申告に必要な書類を準備します。
必須書類
- 源泉徴収票(会社からもらう)
- マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
- 銀行口座情報(還付金受取用)
控除に応じて必要な書類
- 医療費控除:医療費の領収書、明細書
- 住宅ローン控除:住宅ローンの残高証明書、登記事項証明書、売買契約書
- ふるさと納税:寄付金受領証明書
- 副業:収入と経費の記録
ステップ2:国税庁の確定申告書作成コーナーにアクセス
国税庁のWebサイトにある「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。スマホでもパソコンでも作成できます。
確定申告書作成コーナーの使い方
- 「作成開始」をクリック
- 「e-Taxで提出」または「印刷して提出」を選択
- 指示に従って入力
ステップ3:収入と控除を入力
源泉徴収票を見ながら、収入と控除を入力します。
入力項目
- 給与所得(源泉徴収票の金額を入力)
- 医療費控除(医療費の合計額を入力)
- 住宅ローン控除(ローン残高などを入力)
- ふるさと納税(寄付金額を入力)
- 副業の収入と経費
画面の指示に従えば、誰でも入力できます。
ステップ4:税額を確認
入力が完了すると、自動的に税額が計算されます。源泉徴収されている税額より少なければ、その差額が還付金として戻ってきます。
還付金の確認 「還付される税金」という項目に、還付金額が表示されます。この金額が銀行口座に振り込まれます。
ステップ5:申告書を提出
e-Taxで提出(おすすめ) マイナンバーカードとスマホがあれば、e-Taxで電子申告できます。税務署に行く必要がなく、還付も早いです。
印刷して郵送 e-Taxを使わない場合は、申告書を印刷して、税務署に郵送または持参します。
ステップ6:還付金を受け取る
申告から1ヶ月から2ヶ月後(e-Taxなら2〜3週間)に、指定した銀行口座に還付金が振り込まれます。
確定申告のよくある間違いと注意点
医療費控除の対象外を入れない
美容整形や健康食品は医療費控除の対象外です。間違って入力すると、後で修正が必要になります。
副業の経費を過大に計上しない
プライベートの支出を経費にすると、税務調査で指摘されます。経費は合理的な範囲で計上しましょう。
ふるさと納税とワンストップ特例の重複
ワンストップ特例を申請した上で、確定申告でもふるさと納税を申告すると、ワンストップ特例は無効になります。確定申告をする場合は、全てのふるさと納税を申告に含める必要があります。
期限を守る
確定申告の期限は3月15日です。期限を過ぎると、還付が遅れたり、延滞税がかかることがあります。
還付申告は1月から受け付けているので、早めに申告しましょう。
税理士に頼むべきケース
自分でできるケース
- 医療費控除のみ
- 住宅ローン控除(初年度)のみ
- ふるさと納税のみ
- 副業の収入が少ない(年間100万円以下)
これらは確定申告書作成コーナーで簡単にできるため、自分でやりましょう。
税理士に頼むべきケース
- 副業の収入が多い(年間300万円以上)
- 不動産所得がある
- 複雑な経費計算が必要
- 税務調査が心配
税理士費用は5万円から10万円程度ですが、正確な申告と節税アドバイスが受けられます。
還付金を最大化する裏技
裏技1:医療費は5年前まで遡れる
医療費控除は、5年前まで遡って申請できます。過去に医療費が10万円を超えた年があれば、今からでも還付申請できます。
裏技2:家族で所得の高い人が医療費控除を申請
医療費控除は、家族の中で所得税率が最も高い人が申請すると、還付額が最大になります。
例 夫の所得税率20%、妻の所得税率10%の場合 夫が申請:医療費20万円 – 10万円 = 10万円 × 20% = 2万円還付 妻が申請:医療費20万円 – 10万円 = 10万円 × 10% = 1万円還付
夫が申請した方が1万円多く還付されます。
裏技3:iDeCoで節税+確定申告で還付
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額所得控除になります。会社員でも、確定申告または年末調整で申請すれば、大幅な節税になります。
節税効果の例 年収500万円、iDeCo月2万円の場合 年間掛金24万円 × 所得税率20% = 年間4万8,000円の節税
裏技4:ふるさと納税は12月31日まで
ふるさと納税は12月31日までに寄付すれば、その年の控除対象になります。年末ギリギリでも間に合うので、控除上限額まで使い切りましょう。
まとめ:確定申告で取り戻せる税金は数万円以上
確定申告は面倒に感じるかもしれませんが、30分から1時間の作業で数万円から十万円以上の還付金が受け取れるなら、やらない理由はありません。医療費控除、住宅ローン控除、副業の経費など、該当する控除項目があれば、必ず確定申告をしましょう。
2025年現在、確定申告はスマホやパソコンから簡単にでき、e-Taxを使えば税務署に行く必要もありません。国税庁の確定申告書作成コーナーは非常によくできており、画面の指示に従えば誰でも申告書を作成できます。
特に、医療費が年間10万円を超えた方、住宅ローンを組んだ初年度の方、副業をしている方は、今すぐ確定申告の準備を始めましょう。還付申告は1月から受け付けているので、混雑する3月を避けて早めに申告するのがおすすめです。
払いすぎた税金を取り戻して、そのお金を貯蓄や投資に回せば、将来の資産形成に大きく貢献します。今年こそ確定申告で、しっかり税金を取り戻しましょう!


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